海外研修報告
主催 : 医療実務研究会
発表者 : 長幸美・田口千代嘉・吉積玲子・大月則雄

医療実務研究会で初めて企画したオーストラリア・パースへの4泊6日の海外研修(2月17日より22日)に9名が参加した。(芳野病院から3名参加)
病院見学がRoyal Perth Hospital、Fremantle Hospitalの2カ所、施設見学がSwan CARE Ventry Park、Silver Chain本部の2か所を訪問した。
特に、病院見学では限定された場所と時間制限での見学となったが、日本では立ち入ることができない場所まで見学することができ、非常に有意義な見学となった。
今回訪れたパースは、オーストラリアで3分の1を占める西オーストラリア州の州都である。通常日本から観光で行く東部のシドニーやケアンズほど観光地化されていないのも非常に新鮮であった。
1年中気候がよく今回訪れた日も31℃から36℃の真夏日であったが、日本の蒸し暑さは全くなく日陰に入ると涼しい程である。パースではこの数年で移住者が急増し、住宅建設ラッシュで物価が急上昇している。パースの街中でアパートメントビルや周辺では一般住居建築中の風景がいたるところで見られ、特に高級住宅地の値段は8億から88億までと、世界は広く、桁違いのお金持ちがいることを目の当たりにすることとなった。
オーストラリアと日本の相違
地平線と道路
日本とオーストラリアの違いは、なんと言っても広大な土地の広さだろう。面積は20.34倍であるが人口は日本の15%程度である。
2008年調査によると、日本は1k㎡あたり335人が住んでいるが、オーストラリアは2.5人である。特に西オーストラリア州になると0.6人程度と想像がつかないような広大な国である。
また、パース近郊と言っても九州一円がすっぽり入るくらい広い。西オーストラリア州の端からパースまで緊急事態でもヘリコプターで12時間以上かかる状況で、急病人が出たから救急車で迎えに行くというようなことでは、救急救命はできないのが現状である。
Pinnacles砂丘(手前)と奥の白い砂丘
オーストラリアの保健制度はMedicare(国民皆保険制度)が基本となり、1984年発足された。全て税収入で医療費を賄い、課税対象所得×1.5%をメディケア税として徴収し、他の一般税収と合算して連邦政府が管理している。日本の社会保険形式とは違うため、一律ではないが1人当たり30%から40%の税を毎月払っている。
オーストラリアの病院の60%~70%は公費病院で、連邦政府が州政府に対して財政援助を行い、州政府はそれぞれの公費病院へ援助を行っている。従って、公費病院と州政府はそれぞれに対して説明責任を果たさなければならない。患者にとっては、税方式の援助のもと公費病院にかかれば自己負担金は発生しない仕組みとなっている。
公費援助による公的病院の他に勿論民間病院も存在するが、公費での治療が受けられない為非常に高い。そのため民間保険に加入して対応することとなる。
連邦政府は1993年以降DRGによる平均的疾病費用をもとに補助金を算出して支給援助している。そのため、入院期間が短縮され、急性期ケア病床数が1,000人当たり4.1%から2.9%へ減少した。
しかし、日本ほど高齢化率は急激ではないが、65歳以上が270万人で総人口比13%を占めている高齢者の病院利用が増加し、そのことが問題となった。
そこで、地域の急性期後ケアアクセス・プロジェクトを立ち上げ、ACAT(高齢者ケア評価チーム)と共同で高齢者ケア改革(ACRT)を行っている。
Boab Tree
ACATとはAged CARE Assessment Teamの略称で、高齢者ケア改革として地域ケア重視政策の一環として活動している。
メンバーは連邦政府により委託された医師、看護師、SW、PT、OTなどで構成された医療専門職チームで、ケアマネージメント手法による地域高齢者パッケージと長期在宅高齢者ケアプログラムを基本としている。
評価の過程は①初期クライアント評価とニーズの明確化、②ケアプランの立案、③ケアプランの一環としての効果的な照会、④ケアプランの実施、⑤ケアプランの再検討のサイクルで実施され、日本のケアプランの一連の流れとほぼ一緒である。
現在、急性期・回復期・慢性期の切れ目ない医療連携構築が課題となっているようだ。
施設は通常ローケアとハイケアの2種類に分かれ、ローケア施設とは通称ホステルと呼ばれ、日本のケアハウスに相当する。自宅での自立生活困難者であるが看護・介護は不要な高齢者で食事・洗濯・掃除などの家事サービスを受けることかできる。
また、ハイケア施設とは通称ナーシングホームと呼ばれ、日本の特別養護老人ホームに相当する。ここでは24時間体制で看護・介護専門職がケアを提供している。
Silver Chain
本部前にて
1905年、地域社会の健康と福利の責任を共有する事を目的として設立された慈善団体で、地域社会の中で医療やケアサービスの提供を主な事業としている。
西オーストラリア州パース首都圏及び20箇所の首都圏外地区と12ヶ所のへき地を主な活動地区としている。職員数は2,535名で、他にボランティアを700名も抱えている。
昨年度のサービス実績は160万回以上のサービスを実施、時間にして130万時間以上のケア時間を提供し、39,000名以上の患者とその家族・友人がサービスを受け、生活に変化が生まれた。過去6ヶ月に受けたポケットベルの件数は月平均57,500回にも上っている。
受付と表彰状
Silver Chainには利用する為の「電話・FAX等での問合せ」や「サービスの選択」をはじめとする10のステップがあるが、これらの取り組みが評価され、世界でも有数な『ワールドアワード賞』で第3位を受賞している。他の医療機関とも提携して医療サービスも行なっていて、提携先には今回の視察先のRoyal Perth HospitalやSwan Careをはじめオーストラリアの赤十字病院などとも提携している。
Royal Perth Hospital
病院外観
西オーストラリア州第一の教育医療機関であるとともに、救急・感染・熱傷・外傷に対して特長のある病院である。この病院では救急部、感染症・熱傷センター、外傷部、薬剤部、集中治療室を見学し、いずれも医師に説明・対応してもらった。
救急部
ここは主に胸部・腹部の重症患者でモニター管理が必要な患者を収容するメインエリア、24時間以内に治る見込みの方の点滴や安静を必要とするオブザベーションエリア、即時対応が必要な患者を収容するラビットアセスメントエリアの三つに分かれている。
受付にはトリアージ看護師が配置されていて、どのエリアに該当するのかを見極めている。
感染症・熱傷センター
感染症病室内
病床は15床で見学当日は10床が使用されていた。職場での事故・バーベキューをしていての爆発事故、アボリジニ(原住民)が飲酒のうえ焚き火に間違って入るような事故が多いという。完全に個室化しており二重の扉で仕切られ、陰陽圧管理がなされている。
日本でも入室できない場所に入ることができたのは驚きであった。重症の熱傷はほとんどがここに集められている。
外傷部
センター化され、シャワー室もあり、部屋は全てに大きくゆったりと作られている。また、感染症・熱傷センター側からも病室に入れるようになっており、一部の部屋は両方で共有し、外部との遮断が諮れるようになっている。双方からの管理が必要な場合も便利がよいということだ。
重症者室は10床でICU、救急部と同様に常に2対1看護である。患者のデータはシステム化されており、通路のいたるところにパソコンが配置され、患者データの閲覧・入力ができるようになっている。
薬剤部
薬剤棚
5,000種以上の薬剤を取り扱っている。職員は70名以上。ここでは入院中の患者の薬剤と退院時処方を取り扱っている。専門資格を持った管理薬剤師の他にテクニシャン、アシスタント、事務員がいて他に病棟担当薬剤師は14名いる。
無菌室が3室あり、40種類以上の抗がん剤を調合している。抗がん剤の他リウマチ用の薬剤の調合も行なっている。複合外用薬は専用の調剤室がある。
集中治療室
廊下に配置されたPC
手術室は16室。年間15,000例の手術を実施。骨折専用などの部屋もある。麻酔医は44名で、このほかに26名の研修医がいる。感染症の隔離個室は8床でRSVや結核の患者を収容、呼吸器が必要なほどの重症な患者を収容している。
患者の記録はA3版の4倍ほどの大きさのフローチャートに記載されている。1日分の記録が全て一覧できるように作成されており、その中にスタッフが手書きで記録をする。
患者の記録は、患者情報など一部システム化されているが、薬剤はシステム化されていないので手書きが必要。1枚で2日分であり、膨大な記録が残されているが、集中治療室を出るときにサマリーを作成しカルテにはサマリーのみファイリングするシステムになっている。フローチャートは集中治療室に保管することになっている。
1日分の記録用紙
アボリジニ(原住民)は床に寝る習慣からベッドに寝るのを嫌がり、食生活も違うため特別の配慮がなされている。
また、オーダリーといって、ベッドの搬送や食事の世話だけをする病院用務員といわれる専門の職員がいる。病院のシステムも特化しているが、職員の業務内容も特化している。
患者が中心だが研修施設である為、専用の部屋も作られているなど、職員が動きやすい動線でシステム化され安全面の配慮等が印象深かった。
Swan Care Ventry Park
SWAN CAREの経営するVentry Parkは一つの集合体として形成され、街の一角として溶け込んでいる。その中には通常の住宅と施設が混在し、入居者の状態に応じた場所で生活している。一般住宅には高齢者が賃貸か買い取りで生活している。
今回は築35年の古い施設と今年3月よりオープンする新しい施設の両方を見学することができた。SWAN CAREでの個人負担は、各個人の資産で金額が変わるが基本的に年金の85%を徴収し運営している。
入居時はかかりつけ医師に診て貰い、各部屋に医師が往診に来る。必要時以外は6週間ごとに健診を実施している。薬は6週間分処方されるが、薬剤師が1週間ごとに調剤して渡している。
ジャックセンター
ジャックセンター中庭
ジャックとは入居者の名前から名付けたもので築35年の古い建物ではあるが、きれいに整備され、それなりの重厚感がある。前述したACATシステムにそって利用者の入居が決定されるのは同様である。
この施設は日本の特養に該当するハイケア施設で、2階建てプラス1階の作りで1階49人、2階53人、プラス1階44人、計146人が収容できる。勤務者はワンフロア平均7名の看護師とユニットマネジャー(監督者)1名他に11名の職員が配置され、8:1看護である。
各部屋入り口に入居者の写真が貼られ、誰でも判別できるように工夫されている。本人の顔に変化が生じれば撮り直している。庭には池があり鯉が泳ぎ、家族との団らんの場となっている。食堂、浴室、トイレ、図書室等が配備され、日本の施設と変わりはない。
ギンギア
青いガラスと中庭
3月16日オープン予定のこの施設は、社交的な場を持てるように、ひきこもらないようにというコンセプトで建築された施設である。
窓全体を青くして紫外線対策を施し、エレベーターも非常にカラフルな色づかいで年中気候のよさが想像できる。どの場所からでも望める中庭が数カ所あり、映画鑑賞もできるセミナールームや食堂、談話室等もいたるところに設置されている。
最近オーストラリアでも個室志向が強くなり全室個室づくりとなっている。全体的に木目調作りを意識し、高級家具を配置したためかなり建築コストは高くなっている。
Fremantle Hospital
第3次病院で24時間の緊急部門による450ベッドを有し、短期ケア教育研究病院で核医学学部があり、潜水・高圧医療が特徴で、精神医療も行っている。今回は栄養部、診療記録部、薬剤部を見学した。
Fremantle Hospitalの広報部に対応していただいたが、日本からの訪問者として栄養部と薬剤部での集合写真を院内の広報誌に掲載するとともに、地域で発行される紙面にも掲載されることになりそうである。
栄養部
栄養部と
栄養士はフルタイム9名、事務1名で、西オーストラリアでは唯一、救急部にも栄養士を配置している病院である。小児科、一般、特別、手術後、ICU、心臓、リハビリ、腎臓、メンタルをカバーし、チームで栄養の評価、啓蒙、広報、治療を行っている。
栄養室や各病棟にオーダーパソコンを設置し、どこからでも入力できるようにしている。入院患者の食種決定は医師でなく栄養士が行っている点は日本とは大きく異なる。
診療記録部
カルテ庫
パスカード管理され、一般職員は入室できない。定員は12名で現在10名勤務、午後から2名帰宅し、夜勤は2名体制、週末は1名が勤務している。患者1コードで2年間はここで保存した後、倉庫に2年間、さらに外部に保存する形で基本は20年保存としているが、患者カルテは廃棄していない。
病棟から戻ったカルテはバーコード管理され、MEDISプログラムを使用してコーディングを8名で奥の別室にて行っている。
薬剤部
外来処方箋は1日数百枚、薬材料は1年間で2,500万AU$、種類は2,000種類以上、薬剤師は51名で12名~13名が常勤勤務している。
最後に
今回のオーストラリア・パース訪問を通じて、医療に携わる各資格者の専門性が確立していると感じた。それぞれの専門職が責任を持って指示や指導を行えるような制度の上で充実した業務を行っていることは日本とは大違いである。このことは各資格者の更なる専門性を高めることにつながっているようである。
また、今の日本の社会保険方式と、税収によるヨーロッパと同様の老後の保障を提供している点でも大きな差がある。税金が高くとも医療・介護で将来の不安が解消されれば、日本でよく話で出てくる箪笥貯金もなくなり、消費拡大につながるような気がする。
意見の相違はあろうが、長寿世界一の日本こそ少子高齢化対策として今問題となっている税率をあげて、老後の保障を早急に解決しなければ、若い人も含めすべての日本国民が夢を失ってしまうのではないだろうか。
今回オーストラリア入出国に際し、立ち寄ったシンガポール・チャンギ空港でよく話題に出てくる新型インフルエンザのことを思い浮かべた。24時間眠らない世界一大きいハブ空港内を行き交う多数の多民族の人々を見ていると、パンデミックが懸念されていることを実感する。いずれも日本を出て初めて理解できるものでもある。
(参考資料)
http://www.ipss.go.jp/syoushika/bunken/data/pdf/18715008.pdf
「高齢者ケア評価チームを中心としたオーストラリアの高齢者ケアの概観と医療との連携の現状」
福岡県女性海外研修事業「女性研修の翼」に参加して ~デンマーク・オランダ~
報告者 総務課:白石久美子
私は福岡県の男女共同参画の取り組みの一環である「女性研修の翼」の団員として、平成19年10月14日~21日の8日間、オランダ、デンマークを訪問して来ました。海外での研修を通じて国際的な視野を広げ、女性や労働、教育、人権、環境問題などへの認識を深めることが目的です。
オランダでは、環境問題、福祉問題、女性の職場環境について学び、デンマークでは、進んでいる同権問題への取り組みや、働きやすい職場環境や幼児教育の実情を視察しました。
1. 環境問題(訪問先:ニューランド)
計画的に配置された水路と道路
オランダは国土の25%が海抜0m以下で、地球温暖化による海面水位の上昇は国の死活問題となります。そのような状況にも関わらず、集約的な園芸農業の影響と工業の発展が環境破壊問題を深刻化させていました。しかし1970年代より、国の働きかけから積極的な環境政策を取り始め、その内容はEUの環境対策の原型を作ったとまで言われています。
ソーラーハウス
今回訪問したニューランドは、地球に優しい太陽エネルギーに着目した世界最大級のソーラー・ニュータウンです。資材選びなど、建設プロセスのあらゆる段階で環境への影響に留意し、世界で初めて「持続的に環境を守る」というテーマで計画的に作られました。
この町の特徴の1つは住宅です。住宅は地域によって4種に分けられ、この内一地域の住宅がソーラーパネルを有しています。パネルは年々、材料、デザイン、コスト面、技術面と改良が重ねられ、パネルを一つのデザインとして取り入れた住宅も見られます。このソーラーパネルはスポーツセンターを始め、様々な建物や道路の上などにも設置されていました。
街の中をめぐる水路
もう1つの特徴は水と交通(道路)です。周囲は農業地帯で化学肥料により汚染されているため、水路は閉鎖水系にしています。また交通は、どこからでも町の中心に行けるように、自転車と歩行者用道路を放射線状に配置しています。そのため、車は基本的に外周を走行する仕組みになっていて、スーパーや病院、教会なども町の中心に建てられていました。
オランダはどこに行っても自転車専用道路がありました。自転車マスタープランと呼ばれる国家計画の下、専用道路や駐輪場の整備が進められ、自転車通勤者も非常に多い国です。自家用車通勤、営業車の利用などが多い日本では、見習うべきものかもしれません。
2.障がい者福祉(訪問先:アーネム市福祉課、ヘット・ドルプ)
オランダの社会福祉制度は、日本と同様、第二次世界大戦後の戦傷病者への対応から始まります。その後、徐々に変革を遂げ、障がい者、高齢者、生活保護等幅を広げながら、内容を充実させてきました。
2006年に制定された社会支援法の「WMO」は、1968年に作られた特別法「AWBZ」に変わるもので、今まで国の一律レベルで行き届かなかった内容に対し、各自治体が柔軟に対応できるようになっていることが特色です。また、手続きも簡素化されて、より良い介護を提供できるようになっています。
日本の障害者自立支援法での対象となる障がい者は、身体、知的、精神障害の3種に分類され、それとは別に介護保険制度があります。しかしオランダでは、身体、知的、精神障害、高齢者、アルコールや麻薬中毒、犯罪によって障害を受けた人、部分的不都合がある人のすべてが一人の顧客として考えられ、この「WMO」の対象者となります。
ヘット・ドルプの全体図
今回、新しい福祉制度のモデル都市となっているアーネム市を訪問しました。まず、制度を利用する前に「マントルケア」の検討があります。この「マントルケア」とは、家族や友人、隣近所の人々が行うボランティア・ケアのことで、今までと同じ生活環境の中でマントルケアを受けながら、自立した生活習慣や生き方を継続させることを優先して考えます。そして、次の段階が新制度の利用となります。この制度のサービスは、各種ケアの提供、家の改装、交通手段の手配等に分類され、市が基盤となりサービス内容が判断されます。このような流れに日本の介護保険との類似性を強く感じました。相違点はオランダや後に訪問するデンマークにも「ホームドクター」という国や市が管理する日本の「かかりつけ医」とは違う制度があり、この「ホームドクター」が全ての方向付けの基となっていることでした。それとは別に、介護に関わる職種の賃金が低いことは日本とオランダは変わりないようでした。
また、市の予算の40%が福祉に充てられ、顧客の生活費は他の予算部分から支給されるということでした。「足りない場合は?」という質問に、「その場合は他の分野と話し合い、いかにしてもこの福祉分野に関しては皆が制度を利用できるようにする。」と市の担当者は言い切りました。このことから市や国の機関の横のつながりが強いことが伺えました。
陳列方法の考慮された
敷地内のスーパー
続いて見学に行ったヘット・ドルプは重度の障害を持つ人々が有意義な生活を送れるように整備された村です。スーパー、郵便局、図書館などが整備され、障害をもった人はこの村の中で仕事をして給料を受け取り、看護師やソーシャルワーカー、ボランティアの支援を受けながら生活をしています。
作業のできる特別な車椅子
しかし、最近では若い障害者は町に住む傾向にあり、この施設利用者の高齢化が進んでいることが問題となっています。暮らしやすいとは言え、一地域に集まって生活することが最も良い選択なのでしょうか。今、日本が進めようとしている、住み慣れた地域で障害を持った人も共に生活するという環境の方が良い選択なのではないかと私は感じました。
但し、オランダは全麻痺のある方が障害者福祉法の作成をしているそうです。そこから考えると、日本よりかなり実情に即した制度だと考えられるので、日本も参考にすべき点はあると思われます。
3.女性の職場環境(訪問先:オランダ経団連)
オランダ経団連の訪問の様子
オランダはかつて、日本と並び女性の社会進出が遅れている国でした。また、オイルショック以降の対応を間違え、失業者の増大、巨額の財政赤字、高インフレ等の経済危機に陥り、オランダ病と呼ばれるような時代がありました。しかし、1982年の政府、労働者、企業の三者の話し合いによるワッセナー合意の協定をきっかけに、様々な取組みが企業競争力を回復させ、雇用を創出し、その結果として女性の社会進出が進みました。これらによる苦境からの脱却は「オランダの奇跡」と呼ばれています。この女性の社会進出の流れ、各種制度について経団連で話を聞きました。
まず、現在のオランダのパートタイムは、日本でいう非正規雇用に近いパートタイム労働とは違います。かつては、フルタイム勤務の正社員とパートタイム労働者の待遇は異なっていましたが、この差別を禁止しました。これは「オランダ・モデル」と呼ばれるもので、皆で均等にやろうという考え方が基本となっています。この「オランダ・モデル」による労働時間の差別が無くなることで、フルタイム勤務にしがみついているメリットが無くなり、フルタイムからパートタイム、又はその逆を選択しながら、自分の生活に応じた勤務時間を選び働くようになりました。その結果、オランダでは出産・育児終了後はパートタイマーとして復帰することが多く選択されるようになりました。これは保育園や託児のシステムが急速に整えられていったことも関連しているようです。また、企業が「子育ては重要である」と捉え、保育費用の一部を負担するなどの取組みを行っているという話もあり、感心しました。
「オランダ・モデル」と同様の改正が日本でも来年4月施行されることになっていますが、どのような進捗状況になるのでしょうか。
しかし、GEM(ジェンダー・エンパワーメント)の評価基準の一つである女性の管理職の割合増に関しては、まだ難しく、受け入れがたい風潮は残っているという話でした。加えて、性別役割分担意識も残っており、男性が家事に関わる時間はまだまだ少ないということですが、育児に関わる時間はかなり増えてきたということです。保育園のお迎えや子供との散歩や買い物はお父さんがすることとして定着してきているようです。日本も少しずつ同様の道を辿っていくのではないでしょうか。
4.女性の社会進出、男女平等の推進(訪問先:国立ロスキレ大学)
デンマークは高福祉国家として知られていて、その充実した社会福祉制度は消費税率25%、国民の税負担は50%を超えるという税制で支えられています。そのため、政治への関心はとても高く、政治への参加意識が強いため、税の高負担への不満は低く生活満足度が高い国でもあります。また、少子化を乗り越えた国としても注目されています。このデンマークの国立ロスキレ大学で同権問題について話を聞いてきました。
デンマークは、日本より10年以上早い1970年代より同権問題に対する取組みを進めています。この労働力不足の時代を、他国からの労働力で解決しようとした国もありましたが、ここでデンマークは自国の女性の労働力を選びました。その結果、女性の就業率が上がり、その環境を整えることで、子育てや介護に関する社会福祉制度が充実したことから、今の日本は学ぶべき点が多くあると思われます。
特に興味を持ったのが育児休暇制度です。デンマークの産休・育児休暇は、母親が取得できる18週間(産前4週、産後14週)と、別に父親が取得できる期間が2週間あり、両親のどちらかが取得可能な育児休暇が32週間あります。取得できる期間は日本よりも少し充実しているだけですが、その違いは取得しやすいものであるかという点にあります。
その違いは充実した給付金にあるといえます。デンマークでは1ヶ月に13,340クローネ(約30万円)が支給されます。月の給与額を保証し、給付金から差引いた不足分を支給している企業も多くあるそうです。日本では休業中にもらえる金額は、産休中は6割、育児休業中は3割(復帰半年後に2割)支給される制度がありますが、これでは生活が殆ど成り立たないということが、男性が育児休暇を取れない理由の一つでもあります。デンマークでは5年以内には、男性の産・育児休暇の取得が義務化されるのではないかという話もあるそうです。
同権をより進めるにはという質問に、教授から「家庭の中にも政治を持ち込むことだ」と返ってきました。お互いが助けあい、話し合いをもち、家族に優しい職場作り、家庭作りが進むと、目指すべき社会像が見えるのかもしれません。
5.働きやすい職場環境(訪問先:ノボ・ノルディスク社)
ノボ・ノルディスク社(以下:ノボ社)は糖尿病のインシュリンや成長ホルモンを扱う世界的企業で、世界企業ランキング3位に選ばれる優良企業でもあります。このノボ社は、自分と同僚、仕事、家庭、社会等、所謂、ワークライフバランスを確立することを重要視しています。
ノボ社の基本労働時間は週37時間ですが、その他にパートタイム、フレックスタイム、在宅勤務制度もあり、待遇の差はありません。また、教育に力を入れていて、新人教育、職種別教育、復職前の研修制度もあります。加えて、スポーツジムの割引やストレス管理支援等、健康的な生活促進のための支援制度も整えています。敷地内には保育園があり、デンマークの保育園はすべて公営のため、その一部の資金をノボ社が援助しており、ノボ社の社員の子は優先して入れるようになっていました。
このような職場と家庭のバランスを重視した会社の姿勢を「国内・スカンジナビア内ではユニーク(unique)ではないが、特別(special)である」と担当者は誇らしげに語っていました。
このノボ社のワークライフバランスの重要な取組みの一つとして、充実した産・育休制度が挙げられます。前述したデンマークの充実した出産・育児休暇制度に、さらにノボ社は独自の内容をプラスしてより手厚くしています。
具体的には、出産・育児全期間にわたり給与100%を保障し、男性がとれる休暇は法律上では2週間のところ、ノボ社では3週間を認めています。ほぼ全員の従業員が52週の産・育児休暇を取得しているそうです。また、このような各種制度を利用するにあたり、申請期限が定められていました。これは企業の運営にあたり欠かせないものでありましょう。
【デンマークとノボ・ノルディスク社の産・育児休暇制度】
| デンマーク | ノボ社 | |||
|---|---|---|---|---|
| 休暇期間 | 休業補償 | 休暇期間 | 休業補償 | |
| 産前 | 4週間 | 13340 DKK/月 | 4週間 | 通常給与 100% |
| 父親休暇 | 2週間 | 2週間 | ||
| 母親休暇 | 14週間 | 14週間 | ||
| 育児休暇 | 32週間 | 32週間 | ||
【ノボ社 2006年 休暇制度取得状況】
| 種別 | 女性 | 男性 |
|---|---|---|
| 従業員数 | 6414人 | 6134人 |
| 父親休暇 | ― | 277人 |
| 産休 | 401人 | ― |
| 両親休暇 | 585人 | 250人 |
昼食交流会
また、2003年にノボ社は、会社の価値観が従業員に浸透しているかの外部調査を行い、その結果は「浸透している」という満足できるものであったそうです。その際「優秀な人は性別に関わりなく判断してほしい」「優秀な女性に対しもっとチャンスを与えるべきだ」という要望もあがったそうです。これにより、もっと女性の従業員に対する態度を重要視して会社の運営を進めていかなければならない、という考えをより強くしたようです。
ノボ社訪問の様子
現在、ノボ社の従業員の男女比率は50対50で、管理職では7対3です。優秀な女性がいるという考えの下、性別、人種に関係なく、従業員に対してよりフェアな姿勢保ち、優秀な人材は的確な場所へ配置するという考えが、ツールという言葉で紹介されました。大工道具は使うべき場所で使うことで、一番力が発揮されるからという意味のようで、日本で言う、適材適所が当てはまるのではないかと思いました。 「女性の活躍は可能にできると思うし、可能にしなければならない」という言葉に、女性への活躍の期待の高さを伺え、とても嬉しく感じました。説明役の男性の上司である女性は出産・育児休暇を取得後復帰して今では副社長になっているそうです。
6.幼児教育(訪問先:森の保育園)
デンマークの保育園はすべて公営で、そこで働くペタゴと呼ばれる保育士はもちろん公務員です。保育料は家計の収入やその保育園の特性によって多少差はあるものの、約4万円程度です。また、日本でよく耳にする待機児童は殆どなく、第一希望の園に入れないことはあっても、必ず他の受け入れ先はあるということから、数的に充実していることが伺えました。
完全装備の子ども達
私は、3~6歳の31人の子どもを6人のペタゴが預かっている「森の保育園」を訪問しました。その名の通り、園は森の近くにあり、登園後9:30~14:00の間、森の中で過ごします。ナイフやのこぎり、糸など、子どもの想像力を豊かに広げることが出来る道具のみを持っていき、一切おもちゃは持っていきません。
日本で言えば12月・1月の真冬の気候の中、子ども達は元気に飛び出していきました。スキーウェアのようなつなぎの服を着用し、フェイスガードに手袋、そして大きなリュックと防寒とアドベンチャー対策に完璧な服装でした。
ナイフを利用して遊ぶ子ども
実際の森の中での保育は見守り中心です。活動ができるように仕向けることはあっても、「何かをしなさい」という指示はしないそうです。木にぶらさがる子、葉を散らして遊ぶ子、水溜りに入る子、ナイフで木を削る子等、自由奔放に遊んでいました。昼になると集合して昼食をとります。そのお弁当は日本のような色とりどりのキャラクター弁当ではなく、カンケースに入ったキューリとチーズを黒パンで挟んだサンドイッチ等でとてもシンプルでした。これなら私も毎日苦にならず弁当を作れるかなと思えるものでした。
ここで感じたことは、こども達が自分のできる範囲をよく知っているということでした。4歳の子が当たり前のようにナイフ使用したり、木にぶらさがったり、岩に登ります。日本であれば、危ないから、汚れるから、怪我をするからと、どうしても避けてしまいがちになることを平然とやっていました。
岩の上で遊ぶ子ども達
「大きな怪我などで問題になったりしたことはないですか?」という質問に「10年の間に2回ぐらいしかありません。」という回答でした。また、親の理解もあるようで、「そんなにうちの子は元気だったのですね。」と言ってくれるそうです。どちらかというと、都会の遊具のある保育園の方が、怪我が多いということでした。
また、この園は、自然に触れさせることも大切しながら、文化も深くつきつめ、子供に直接触れさせることが重要と考えているようで、週に一度は劇場、映画館、美術館に行っているそうです。すばらしいと感心しました。この保育園を訪問し、日本がまず取り組むべき課題は、保育・託児所数の改善と質の見直しではないかと感じました。
所感
オランダもデンマークも夜は家の照明を明々と使用せず、キャンドルの光りを主に生活をするようで、どこのスーパーに行っても、キャンドルが沢山売っていました。
また、エコバックは当たり前で、袋が必要な場合は有料です。飲み物はビン類が多く、製品価格に一定金額の「デポジット(預託金)」を上乗せして販売し、使用後の容器返却時に預託金を返却するデポジット制が定着しているようでした。
さらに、自転車の利用がとても多く、バイク並みの速さで自転車道路を走っていました。特にデンマークでは子どもを乗せるかご付きの自転車を多くみかけ、生活に身近なところで、日本は環境に対する取組みが遅れていると感じました。
スーパーで売られる
沢山のキャンドル
デポジット機
また、両国共に、ベビーカーを押したり、自転車のカゴに子供を乗せている父親をよく見かけ、働きながら子育てに参加する男性の姿がありました。ある訪問先で「男性の子育ての参加が進んだ要因はなんですか?」という質問に、「子育てに対してステータスが持てるようになったから」という答えをもらいました。若い夫婦、そして、退職した祖父世代にもそういった考えが広がっているそうです。日本ではなかなか払拭出来ない伝統的な男女の考え方があります。この点はとても参考にできるのではないかと感じました。
それに加えて、日本では教育費がかかります。訪問した両国とも、塾に通うという習慣はないようで、競争ばかりが激化している日本での教育現場の在り方を見直すことで、子ども一人に対する教育費も変わってくると思います。
オランダ・デンマークを訪問して、日本は働き方に関して「オランダ・モデル」の取入れを目指していることが分かりました。日本はオランダの1家計に対して1.5馬力を目指しているようです。しかし、すでにデンマークは女性のパート時代を乗り越えて、今は基本フルタイムで働く人ばかりなので、2馬力となっています。
日本も制度や施設の充実を速く進めて、フルタイムを希望する人は、迷うことなくフルタイムが実現できる社会になって欲しいと思います。
オランダ・デンマーク共に労働力不足から週40時間労働へ戻すことも検討されているようですが、現在、週37時間労働が基本となっていることから、仕事の質の高さが伺えます。労働力の足りない部分は人を補充をすることで、雇用を生みます。そして、働く人は賃金と充実した自分の時間を持てるようになります。これこそ、ワークライフバランスです。女性にとっても、男性にとっても、これは日本の目指すべき社会なのかもしれないと感じた研修となりました。
ハワイ海外研修
報告者 2B病棟:田中・地域医療連携室:三谷・総務部:立花
研修期間:平成18年2月15日~20日
2月15日という点数発表の日にハワイに行くことになったが、話に色々と聞いてはいるものの、実際に病院を見学することが出来たことは理解を深めるのに非常に有意義でもあった。
日本の国民皆保険制度と違いアメリカの公的医療保険は「メディケア」と「メディケイド」の2種類しかないことは皆さんもご存知であろう。65歳以上高齢者対象の「メディケア」と州政府の自主的判断での生活困窮者対象の「メディケイド」しかない。
従って、民間医療保険に加入できる人は良いが、「メディケイド」に該当しないが医療保険に加入できる余裕のない人は無保険者になるしかない。アメリカの保険制度の大きな問題点である。
しかも、民間医療保険に加入するといっても、民間の医療保険がカバーする範囲や金額はその種類によってかなり異なり、保険金額の高い保険であればあるほど、カバーされる病気の種類は増え、保険会社の負担額が大きくなり、診察を受ける医師の選択範囲も広がる。安価の医療保険は、自己負担額が大きく、保険会社の指定する医師や病院でしか治療を受けられないといった制約があるからだ。
要するにアメリカの余裕のある人は、医療保険を買っているのである。日本で入院一日10,000円というような個人で加入する民間保険の医療版のようなものである。例えば良い医療を受けようとすると、一人当たり毎月$300以上の支払いをしているのである。
唯一、ハワイ州だけは会社が医療保険の加入を義務付ける法律があり、職員が保険を持つことができるそうだが、日本のように全ての疾病がOKということではなく、会社によってその内容も異なり、会社の大きな負担となっているそうだ。
病院は、Kuakini Health System(K.H.S)とRehabilitation Hospital of the Pacific(REHAB)、施設はHale Ho Aloha Nursing Home(H.H.A)を見学したが、幸いにも予定外のThe Queen's Medical Center(Q.M.C)にも行くことが出来た。
全て同じシステムではないが大きな流れとして、Q.M.Cは超急性期の病院であり、重傷者はほとんどこの病院へ運ばれてくるが、病院内に医師はいない。隣接するビル内の医師が診療や処置・手術をするシステムになっている。
この隣接するビルには、ほとんど全ての科ごとに医師が賃貸契約で診療所を開業し、「診療所集合体ビル」となっている。自分の患者の治療が必要なときは、病院へ入院させ、しかるべき処置や手術を行い、その後は在宅か必要によっては他の病院へ転院させる。診療所といってもホテルの部屋が並んでいるようで、中をのぞかなければ診療所とはわからない。外から見る限り、日本の診療所のような風景ではない。
例えば、整形外科医担当の患者が骨折した場合、Q.M.C で手術を行い、3~4日以内でREHABへ転院させ、1日3時間、365日のリハビリで14日~20日で退院させる。勿論、REHABにも医師はいない。かかりつけ医が全てを診るシステムである。
しかし、最近は診療所の医師が紹介するだけで、病院の医師が診療することが増えてきたということで、現在の日本方式になっていて面白い。しかし理由は不明である。
H.H.A は保険の利かない全額自費の施設で、日本の特養と同じと思っていただければよい。週間予定表によって色々なゲームや行事を行い、デイサービスを提供しているのと同様で、ここにも医師はいないし、PT・OTや栄養士は個人契約で、薬に関しては会社と契約している。
勿論、医療に関しては民間保険会社との個人契約で医療費の上限枠が設定され、診る病院や医師が限定される問題が発生する。その為、急性期の病院から専門病院、施設、在宅との関わりに大きく関与しているのが、看護師・SWであり、重要な役割を果たしている。非常に短い平均在院日数を維持しているのも、保険との問題が大きく関係している。
ハワイ海外研修
報告者 2B病棟:田中・地域医療連携室:三谷・総務部:立花
研修期間:平成18年2月15日~20日
2月15日という点数発表の日にハワイに行くことになったが、話に色々と聞いてはいるものの、実際に病院を見学することが出来たことは理解を深めるのに非常に有意義でもあった。
日本の国民皆保険制度と違いアメリカの公的医療保険は「メディケア」と「メディケイド」の2種類しかないことは皆さんもご存知であろう。65歳以上高齢者対象の「メディケア」と州政府の自主的判断での生活困窮者対象の「メディケイド」しかない。
従って、民間医療保険に加入できる人は良いが、「メディケイド」に該当しないが医療保険に加入できる余裕のない人は無保険者になるしかない。アメリカの保険制度の大きな問題点である。
しかも、民間医療保険に加入するといっても、民間の医療保険がカバーする範囲や金額はその種類によってかなり異なり、保険金額の高い保険であればあるほど、カバーされる病気の種類は増え、保険会社の負担額が大きくなり、診察を受ける医師の選択範囲も広がる。安価の医療保険は、自己負担額が大きく、保険会社の指定する医師や病院でしか治療を受けられないといった制約があるからだ。
要するにアメリカの余裕のある人は、医療保険を買っているのである。日本で入院一日10,000円というような個人で加入する民間保険の医療版のようなものである。例えば良い医療を受けようとすると、一人当たり毎月$300以上の支払いをしているのである。
唯一、ハワイ州だけは会社が医療保険の加入を義務付ける法律があり、職員が保険を持つことができるそうだが、日本のように全ての疾病がOKということではなく、会社によってその内容も異なり、会社の大きな負担となっているそうだ。
病院は、Kuakini Health System(K.H.S)とRehabilitation Hospital of the Pacific(REHAB)、施設はHale Ho Aloha Nursing Home(H.H.A)を見学したが、幸いにも予定外のThe Queen's Medical Center(Q.M.C)にも行くことが出来た。
全て同じシステムではないが大きな流れとして、Q.M.Cは超急性期の病院であり、重傷者はほとんどこの病院へ運ばれてくるが、病院内に医師はいない。隣接するビル内の医師が診療や処置・手術をするシステムになっている。
この隣接するビルには、ほとんど全ての科ごとに医師が賃貸契約で診療所を開業し、「診療所集合体ビル」となっている。自分の患者の治療が必要なときは、病院へ入院させ、しかるべき処置や手術を行い、その後は在宅か必要によっては他の病院へ転院させる。診療所といってもホテルの部屋が並んでいるようで、中をのぞかなければ診療所とはわからない。外から見る限り、日本の診療所のような風景ではない。
例えば、整形外科医担当の患者が骨折した場合、Q.M.C で手術を行い、3~4日以内でREHABへ転院させ、1日3時間、365日のリハビリで14日~20日で退院させる。勿論、REHABにも医師はいない。かかりつけ医が全てを診るシステムである。
しかし、最近は診療所の医師が紹介するだけで、病院の医師が診療することが増えてきたということで、現在の日本方式になっていて面白い。しかし理由は不明である。
H.H.A は保険の利かない全額自費の施設で、日本の特養と同じと思っていただければよい。週間予定表によって色々なゲームや行事を行い、デイサービスを提供しているのと同様で、ここにも医師はいないし、PT・OTや栄養士は個人契約で、薬に関しては会社と契約している。
勿論、医療に関しては民間保険会社との個人契約で医療費の上限枠が設定され、診る病院や医師が限定される問題が発生する。その為、急性期の病院から専門病院、施設、在宅との関わりに大きく関与しているのが、看護師・SWであり、重要な役割を果たしている。非常に短い平均在院日数を維持しているのも、保険との問題が大きく関係している。
制度改定とハワイ研修で思うこと
アメリカの医療制度の良し悪しは別として、ハワイ研修での病院見学によって今回の日本の制度改定の理解が更に進むことになった。今後、少子高齢化が進み、社会保障費の伸びが国の財政を逼迫する状況を回避する為には、最初に述べた「医療費適正化政策のタイムスケジュール」が実施されることにより、「将来の病床機能分化イメージ図」に近づく必要がある。そのためには大きな点数配分による長期療養のカットと、自己負担増しかないのであろうか。
まさに医療療養病床に「医療区分」「ADL区分」が適用され、医療度の高い患者のみを医療療養病床として残し、2012年には介護療養病床の廃止が行われる。究極的に長期在院日数の病床を廃止し、急性期病院のみが病院で他は施設に転換せざるを得ない点数設定を更に進めていく図と解釈できる。
しかし、今回の改定の中で、一般病棟入院料の1.4:1の設定の平均在院日数が19日以内とされたのは予想外でもあった。今後これが短縮される可能性はあるにしても、アメリカのような超短期入院日数は日本にはなじめないとも理解できる。
アメリカとは風土・習慣・国民性が全く違い、医療制度も異なる国ではあるが、日本の国民皆保険制度を堅持しつつ、良いところだけを吸収した制度を作り上げる政策を期待したいが、かなりの痛みを伴わなければならないであろう。
小さな政府へ、民間へ、個人へとシフトする政策は、「格差社会」を増長しているようでもあり、医療だけではなく、社会全体が気づかぬうちにアメリカ式へと変化してきている 。
Q.M.C隣接診療所
ホノルル
クジラ発見
Hanauma Bay
ハワイ海外研修
報告者 3A病棟:福田・リハビリ科:小西・検査科:福原・在宅介護サービス:森藤
研修期間:平成17年2月15日~20日
アメリカの医療費は高額で、高齢者・低所得者を対象とする保険を除き、医療費は公的に保護されません。従って、職員への福利厚生として、勤務先の会社が団体保険へ加入するか、個人で保険に加入するしかありません。アメリカの公的な保険制度としては、メディケアとメディケイドがあります。メディケアとは、65歳以上の高齢者または、身体障害者が対象となります。メディケイドとは、低所得者が対象となる保険です。
研修施設(1)(Kuakini Medical Center)
Kuakini Medical Center
職員ではない医師550名を入れると、全体で1300名の職員がいます。212床あり平均在院日数は、6から6.5日です。ICUは12床あり、入院費は1日2000ドル(20万円)以上かかるそうです。日系8000人の男性を対象に、冠状動脈疾患と脳梗塞の発症を調査し、研究を行っています。
研修施設(2)(Convalescent Center of Honolulu)
呼吸器専用車椅子
182床の長期入院施設で、入院条件は自宅では介護困難で身体に障害があることです。病室の値段は月に18000ドル(180万)、入院中の呼吸器はレンタルとなります。呼吸器や酸素ボンベを取り付けられる車椅子をオーダーし、週2回は外出しています。アクティビティ・ディレクターという資格者が、外出やその他様々な活動に力を入れています。
研修施設(3)(Rehabilitation Hospital of the Pacific)
ハワイで唯一の急性リハビリテーション病院です。110床あり、他に外来の施設を8ヶ所持っていて、そこで退院後のフォローを行っています。医師は、職員ではなく個人で外来設備を持つ専門医が、毎週会議を行い、退院までの計画を立てています。1日に、PT・OT・ST合わせて3時間以上のリハビリを 365日提供しています。
研修施設(4)(Hale Ho Aloha Nursing Home)
Hale Ho Aloha Nursing Home
病床数は85床で、メディケア、メディケイドどちらの保険も使用出来ない施設です。日本人が3分の1利用しているということに驚きました。薬・検査・リハビリの費用については保険が使え、全額支払うことはありません。入所者の方に対しての心配りが大変行き届いているように感じました。
研修施設(5)(Hawaii Kai Retirement Community)
400人が入居でき、家賃は月に2000~4000ドルとなっています。対象者は、基本的に日常生活の自立している方です。ロビーや廊下にたくさん絵が飾ってあるのは印象的でした。ダイニングルームが3ヶ所あり好きなところで食事が出来るということが、自然と「閉じこもり」の解消につながっているようです。
今回、私たちはハワイ研修において、急性期からナーシングホームのような施設まで見学し、日本とアメリカの医療体制の違いを知りました。病院にかかるということは、高額な医療費を負担しなければならないため、自分の健康は自分で維持していくという意識が強く感じられ、医療に対する認識の違いを肌で感じることができ、貴重な体験となりました。この研修で見たこと、感じたことを、当院での医療・福祉に活用し、本当の意味でのSpecialistとなれるよう日々努力を行っていきたいと思っています。
ハワイ海外研修
報告者 太田・山名・松原・川内
ハワイのリハビリテーションホスピタルオブパシフィック、セントフランシス・クイーンズの両メディカルセンターへ各部署のスタッフ4名が、平成15年11月、4泊6日の視察・研修を行いました。院内がとても清潔で明るい挨拶がとても印象的でした。保険会社の医療保険抑制で負の面を見てきましが、安全管理や感染防止については日本でも見直す点も見られました。これからの業務にいかして参ります。
ハワイのリハビリテーション病院視察
報告者 院長:芳野 元
平成13年春ハワイ州ホノルルにあるRehab(Rehabilitation Hospital of the Pacific)へ視察に行ってきました。全米でも有数の100床のリハビリ専門病院です。
そこでは350人のスタッフが働いており、マンパワーの多さに驚きました。未来の日本のリハビリを垣間見たようで貴重な体験でした。
当院も回復期リハビリテーション専門病院を目指しておりますので非常に参考になりました。
ヨーロッパ福祉視察研修報告
報告者 社会福祉士:三谷 富子
研修日程:平成12年3月19日~25日
研修国:スウェーデン・デンマーク
- サービスハウス…ある程度自立生活ができてそれほど重度な介護を必要としない人に適している。アパートメントが集まった建物で喫茶店・レストランは必ずついている。 図書館・薬局・美容院等があるのもめずらしくない。必要なときに介護サービスを受けられる。

- グループホーム…痴呆を持った人たちの共同住居で5~6人で生活している。
- 老人ホーム
- ナーシングホーム…重度な介護が必要な人、医療手当ての必要な高齢者・障害者が入居。

福祉を学ぶものなら誰でも一度は訪れてみたいと言われている福祉先進国スウェーデン、 デンマークの研修を終え、社会構造の違い、歴史・風土の違い、生活スタイル、システムの 違いを改めて痛感させられました。日本と比較をすることは、社会構造が違いすぎて困難で す。両国ともに、寝たきり老人のいない国として有名ですが、本当にいないのかという質問 をしてみました。いないのではなく、寝かせきりにしていないのです。勿論マンパワーの充 実という大前提はありますが、ベッドイズバッドという考えが浸透しているようです。
この研修で得たひとつにプライマリヘルスケアシステムが確立している事に大きな感動を 覚えました。地域レベルに密着した医療、ケアを行なっていくためには家庭医が訪間看護婦、 保健婦、PT、OT、ヘルパー等とチームを組み地域医療をリードしていく必要があると考え ます。日本ではこのチームワークがまだまだというのが現状ではないでしょうか。
もうひとつに、老人や障害者が生き生きとしており、自由に暮らしているという印象を受 けました。年を取ってもおしやれに気を配り、自分の生き方は自分で選択しているという姿 勢が伝わってきました。これは、子供が親をみるという扶養義務が存在せず、また、学童期から自分は何になりたいか、どんな生き方をするのかという教育を受け、ある程度の年令で 独立するという風習によるものだと思われます。老後は子供たちではなく、社会が面倒をみ るのが当然であるとの考え方が定着しています。子供との同居率はスウェーデン、 デンマーク10%、日本では64%と言われています。日本では子供の自立心が低く、また、親の 面倒は子供がみるのが当然、親も子供たちを頼っているというのが現状です。私は、「今の 若い人は」と言っている親の世代、高齢者の方々へ、若い者に期待をするよりも、自分自身 の老後を自立に向けて考えてみてはと思いながら帰ってきた次第です。
4日間の研修で、ほんの一部分しか勉強できてないと思いますし、まだまだ福祉は奥の深 いものだと思いますが、異文化に触れ貴重な財産となりました。
公的介護保険という社会保険方式で社会保障を行なおうとしている日本と、税金により社 会保障を行なっている北欧と、どちらが生き残れるのか非常に楽しみであります。しかし、 方法は違っても人格の尊重、生き方の選択の自由などは共通の認識として持っていたいと思 います。
アメリカ医療福祉視察の報告
報告者 院長:芳野 元
平成11年11月アメリカへ行ってきました。往復と土日を除くと6日間という中でかなりハードに 視察をしてきましたがとても有意義でした。
まず感じたのは、アメリカの医療のひずみです。病院に居たいけれど居れない。あるいは病院 側も、長く入院させておくと保険上損をするという考えがある様で異常に短い在院日数となっ ています。日本で「在宅」というと、どうしても「老人医療」を考えますがアメリカではむし ろ、本当は入院で行いたいがお金がかかるから在宅でしている、という様な状態でした。
在宅会社も15年で20%減っています。やはり質の維持が重要とのことで私の今まで言ってき た事がまちがいないと確信しました。
BOSWELL記念病院
年間300日快晴のフェニックス市に位置する病院。
Acute Rehabilitation (急性期リハビリテーション)の表示
日本と違い急性期リハビリテーションの定義は、1日3時間のリハが必要とする時期とのこと。3時間とは驚きでした。
リハの中にある模擬売店、物を買ってお金を払うまでの訓練をする。「外へ出る」ということを本気で考えたリハだと思いました。
日本と違い急性期リハビリテーションの定義は、1日3時間のリハが必要とする時期とのこと。3時間とは驚きでした。
リハの中にある模擬売店、物を買ってお金を払うまでの訓練をする。「外へ出る」ということを本気で考えたリハだと思いました。
サンヘルス ケアセンター(120床)
60床が急性期の病床。病院を数日で出て、ここに7日間滞在!
残り60床は自分の家に帰れない人。月40万円かかります。
その施設の食堂です。スタッフは、ナース,ソーシャルワーカー,PT,OT,ST,レクレーションセラピスト,栄養士。
医者はおらず何かあれば救急車を呼びます。???
ランチョ ロス アミゴス・病院
リハビリ専門病院。ランクは全米ベスト10に入る。プライバシーの問題で写真は撮れず。
6つの公立病院から21日たって送られて、29日間リハをして帰る。100人の成人脳疾患患者のリハ入院に対しリハ専門医10人,PT12人 OT12人ST9人。やはり1日3時間のリハ(PT,OT,ST各1時間)。
生活訓練室
1000坪のデイケア
オプションケア
在宅医療会社でスタッフ240人。
入口に書いてあるのは、 INFUSION(点滴),NURSING (看護),EQUIPMENT(器機)oxygen(在宅酸素)
アセントラ
在宅器具の会社。車(バン)にこんなに酸素積んで大丈夫?
パシフィケア
保除会社。最近アメリカで保険会社が強くなって医師がいちいちこの検査して良いか問い合 わせたり、医療を行った後、保険を支払う支払わないでモメごとが多いとのこと。この人は必死で弁明している所。
入院日数
- 乳癌 1日
- 虫垂炎 2日
- 肺炎 2~5日
- S状結腸切除 3~4日
- 心筋梗塞バイパス 4~6日
サンシティー
40年前に作った老人専用の街 (人口4.5万)。 1980年にサンシティーウエスト(人口2.7 万人)今売り出し中のサンシティグランド(人口2万人)の3ヶ所を有す。
その町に病院1つ。21のショッピングモール。6つの大スーパーマーケット 28の教会7つのレク施設(プール,ゴルフ,ボーリング,ビリヤード,テニス,工芸等)がある。住宅の値段は1000万円~2500万円(土地付)でこんなに豪華。

